治療へのご要望・疑問について

受診前に知っておきたいこと

歯並びを治したい

「歯並びを治したい」というご要望に対し、私たち歯科医師がご提案できる方法には大きく分けてふたつの方法があります。歯をそのまま並べなおす「矯正歯科」に属する方法と、歯に修復物を貼り付けたり、かぶせたりする「審美歯科」に属する方法です。

この内、歯並びは悪いが、歯そのものは悪くないという場合には、基本的に矯正を選ぶべきでしょう。ブラケットやワイヤを装着しなければならず、またその期間も長いということが欠点ですが、それを我慢できるのであれば、他の審美歯科的方法を選択する余地は全くありません。逆に、それを我慢できない場合、特に短期での治療を希望なさる場合には、審美歯科的方法が選択されます。また、既に歯そのものがある程度以上に悪くなっている場合、既に修復物が装着されている場合などには審美歯科的方法を選択しやすくなります。ただし、歯並びも歯そのものも悪いという場合には、矯正できちんと並べた上で、審美的修復物を装着するというのがベストであることを申し添えねばなりません。

矯正」「シェイプインテグレーション」の項をご参照ください。

歯並びを治したいのですが、既に歯そのものも悪いので、矯正してからかぶせた方が良いと言われました。時間も費用も二重になってしまうように思いますがいかがでしょう。

歯根があれば、歯のかたち自体はポーセレンを用いた補綴物によってほぼ完全に回復することができます。しかし、歯根が本来あるべき位置から大きくずれている場合には、美しい歯列を回復することは困難です。歯根を本来あるべき位置に戻してから、最終的な補綴物を装着することおすすめする場合があります。

歯周病と言われたが

歯周病との指摘を受けた、という訴えは私たち歯科医師が日常しばしば経験するものです。中でも「歯槽膿漏と言われた」という場合には、はたと困ることが多いものです。
もちろん「歯槽膿漏」という言葉自体、「歯周炎」という病名としての意味で発せられたものであることは、想像に難くありません。しかし、「歯ぐきから膿が漏れている」という字面は極めて不快です。言葉の遊びではありませんが、「歯槽膿漏」という「歯ぐきから膿が漏れている」状態は、「歯槽膿漏」という本来は「歯周炎」と呼ぶべき疾患の、最も重篤な段階であるというのが本当です。当院では、こうした誤解を避けるため、「歯槽膿漏」という言葉を使わないようにしています。

歯肉炎、歯周炎等の歯周病は、極めて広範かつ一般的に見られる疾患で、罹患率も非常に高く、決して特別なものではありません。かといって、なめてかかるのは危険です。歯周病が、心臓疾患、糖尿病、肺炎その他の全身疾患の原因であるとの指摘が行きわたるようになり、また確実で再現性の高い治療法が確立されつつある昨今、歯周病の治療を積極的に受けていただきたいと考えております。まずは「歯ぐきのチェック」をお勧めいたします。

口臭が気になる

最初にご指摘すべき点は、「人間の口は無臭ではない」ということです。つまり、口にはもともとにおいがあり、それを「口臭がある」と気に病む方が多いのです。逆説的ですが、「気になる口臭への対処は、まずその口臭を気にしないこと」と申し上げたいと思います。「口臭を気にすること」によるストレスが、かえって口臭をひどくすることが知られており、この点について、私たちは歯科医師として十分な配慮が必要であると考えております。

仮にはっきりとした口臭がある場合でも、私たち歯科医師や歯科衛生士が、スケーリング等の歯周疾患初期治療を行うだけでかなり軽減する場合が多いのです。口臭は歯肉の炎症が主な原因と考えられますが、簡単にスケーリングを行うだけでこの炎症が直ちに軽快する場合も多く、結果的に口臭の程度を緩和することにつながります。

口臭のうち、私たち歯科医師だけでは対応が困難になるのは、例えば内臓疾患や内分泌疾患など全身的要素を原因とする症例です。重篤な疾患であることもあり、十分なチェックが必要なことは言うまでもありません。必要以上に悩む前に、まず歯科への受診をお考えください。

歯を白くしたい

歯/歯並び 色とかたち の項をご覧ください。

前歯が1本だけ悪くなり、ここになるべく白いものを装着したいのですが、これだけ白くて目立つことになりませんか?

せっかく治すのですからできるだけきれいなものにしたいのは人情です。ただ1本だけ他より白ければ、これは目だってしまい、人工物であることが誰から見てもわかってしまいます。このような場合、他の歯をホワイトニングによって白くし、目立たなくすることができます。結果的に全体を白くすることができるわけです。製作する補綴物の色を決めるとき、他の歯に合わせ、調和を図るのがコンベンショナルな考え方ですが、ホワイトニングの技術が進んだ現在、ご希望の色についてぜひともお申し出頂きたいと考えております。

自分に合う治療法とは?

つい最近までは、「審美歯科」「歯科審美治療」といえば、高額な治療費のかかる特別なものと考えられがちでした。しかし、この領域での技術は急速に進歩し、治療法にも多くのバリエーションが生まれ、それらを提供する歯科医院も増加しました。その結果、患者の皆様にとっても、多くの選択肢が出来上がりつつあります。一方で、その選択肢の中から、自分に合うものがわかりにくくなってきているとも言えるでしょう。

歯科の技術というものは、もちろん専門的なものであり、歯科医師になるための教育も最低6年と決められています。しかし、こうした技術そのものは一般の方の理解を超えるものではありません。また、覚え切れないほど、多くのものがあるわけでもないのです。難解な概念が100もあってその中から選ぶというものではないのです。歯科医師の多くは、こうした技術について、網羅的に、かつある程度深いところまで、患者の皆様の理解が得られるようご説明することができるよう教育、訓練を受けています。

したがって、皆さんがご自身の口腔状態について、十分な認識があり、またそれに対する明確なご要望があれば、必ずご自身にあった治療法が見つかるはずです。治療にかかる時間や費用、治療そのものに対する恐怖心など、解決すべき問題は多いかもしれません。しかし、必要以上に躊躇していても、問題はいつまでたっても解決しないどころか、より悪化することも少なくないのです。ぜひともまずご相談のためだけにでも、歯科医院のドアを開けていただきたいものです。